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循環器科

2022.03.29

ワンちゃんネコちゃんに、こんな症状はありませんか?

このような症状に当てはまる場合、愛犬・愛猫が循環器系の病気にかかっているかもしれません。

  • 咳をするようになった
  • 呼吸が荒い
  • 疲れやすくなった
  • 散歩中に立ち止まる
  • ふらつく
  • 失神する
  • お腹が張っている
  • 舌の色が紫色になった
  • ぐったりしている
  • 食欲がない
  • 歩き方がおかしい

心臓病は進行してから発見されるケースが多く、命に関わることもあります。

特に高齢のペットの調子が「なんだかいつもと違うな」と思ったときは要注意。

不調を訴えられないワンちゃんネコちゃんのために、ささいなことでも相談してください。

循環器系の病気について

循環器とは”心臓”です。

心臓は血液を全身に送り出す重要な臓器です。

心臓に異常があると「疲れやすい」「呼吸がしにくい」「意識を失う」などの症状が見られます。

心臓病が重度になると命を脅かすため、異変に気付いたら早めに病院へ相談しましょう。

ここではワンちゃん・ネコちゃんそれぞれに多い循環器系の病気を紹介します。

ワンちゃんに多い循環器系の病気

  • 僧帽弁閉鎖不全症:全身に流れるはずの血液が逆流してしまいます。高齢の犬でよく見られます。最初は心音に雑音が混じる程度ですが、咳が出てきて、さらには肺にも血液が溜まるようになります。(肺水腫)
  • 心室中隔欠損症:生まれつき心臓内部の壁に穴が空いている状態です。穴が大きいと呼吸が乱れ、心不全を起こす場合があります。
  • 肺動脈弁狭窄症:心臓から肺へ流れる途中にある弁が狭くなっています。血液が流れにくくなり、心臓が頑張りすぎた結果、負担がかかります。進行するとお腹に水が貯まります。(腹水)
  • 肺高血圧症:肺動脈の血圧が高い状態です。咳が出たり息苦しくなったり、失神することもあります。

ネコちゃんに多い循環器系の病気

  • 心筋症:初期段階では「元気がない」「食欲が減る」といった症状です。進行すると心臓の機能が低下し、肺に水がたまったり、血管に血栓が詰まったりします。「拡張型心筋症」「肥大型心筋症」「拘束型心筋症」の3つに分けられます。
  • 不整脈:心臓は本来一定のリズムで動いています。運動したわけでもないのに、心拍数が異常に多くなったり少なくなったりします。通常息苦しさを感じる程度ですが、悪化すると失神・けいれんなどが見られます。
  • 心タンポナーデ:心臓がポンプとして機能できず、血圧が低下します。呼吸困難や腹水が起こります。

循環器科の診断・検査内容

循環器科の病気で行われる主な検査は以下の通りです。

初めての来院時

まずはしっかりと問診・一般身体検査・聴診を行います。

動物種・年齢・既往歴などをお話しください。

心拍数・呼吸数や体温測定によって状態を大まかに把握し、ワンちゃん・ネコちゃんに必要な検査を決定します。

血圧検査

心臓病による高血圧がないか確認します。

高血圧はワンちゃん・ネコちゃんにも見られる症状で、体に影響を及ぼします。

また、定期検診でお薬の効き具合を判断するときにも用います。

画像検査

画像検査によって心臓の大きさや形・血管の太さなどを確認します。

肺に水が溜まっている状態(肺水腫)の診断も可能です。

レントゲン検査や超音波(エコー)検査・CT検査を使い分けます。

心電図検査

主に不整脈が疑われる場合に心電図検査を用います。

聴診では分からない不整脈や心臓の異常を確認できます。

また、ご自宅で心電図を記録できる機器を貸し出す場合もあります。

循環器科の治療

循環器科の病気はお薬による治療(内科治療)が主流です。

ワンちゃん・ネコちゃんの状況や年齢・飼い主さんの予算や考え方を踏まえた上で決定します。

発見が早ければ早いほど治療効果が期待できるため、気になることがあれば早めに病院にご相談ください。

※当院で実施することが困難な治療では他の動物病院を紹介する場合があります。

内科治療

お薬で症状を和らげて病気の進行を抑えます。

  • 血管を広げて血圧を下げるお薬(ACE阻害薬)
  • 心臓の機能を抑えるお薬
  • 心臓の負担を抑えるお薬(強心薬)
  • 血栓を溶かすお薬
  • おしっこを促すお薬(利尿薬)

などを使います。

心臓病自体を治すものではありませんが、毎日飲ませる必要があります。

お薬を途中で止めてしまうと、一気にワンちゃん・ネコちゃんの心臓に負荷がかかります。

獣医師の指示通りに飲ませましょう。

投薬をして終わりではなく、定期的に心臓の確認も行いましょう。

外科治療

心臓病が重度の場合、人工心肺を用いて手術することがあります。

※症状・犬猫の年齢や合併症などから総合的に判断します。

お薬で心臓病を完全に治すことはできませんが、手術では根治も目指せます。

例えば「僧帽弁閉鎖不全症」では、閉ざされているはずの心臓の弁が開いており、血液が逆流している状態です。

手術により弁を治せば逆流が減り、心臓の機能が正常に近づきます。

健康的な生活を取り戻し、結果的に寿命が伸びます。

なお内科治療に比べてワンちゃん・ネコちゃんの負担は大きいので、ご家族の理解を頂いてから手術を行います。

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<2019年1月更新>